2025.10.24

  • コラム

飲酒運転の同乗者も罰せられる?知らなかったでは済まない法的リスクを徹底解説

飲酒運転は重大な交通違反であり、運転者本人が厳しく処罰されるのは当然のことです。しかし、「自分は運転していないから関係ない」と思っている人は少なくありません。実は、飲酒運転を知りながら同乗した場合、同乗者であっても罰則の対象になる可能性があります。

このような認識の甘さは、自分自身だけでなく、周囲の人の人生を大きく狂わせる危険をはらんでいます。本記事では、飲酒運転の同乗者に対する法的な罰則や判断基準、実際の処分内容、さらに同乗者として取るべき対策までを分かりやすく整理します。

「乗せてもらっただけでは済まされない」時代だからこそ、同乗者の立場からもリスクと責任を明確に理解し、自分と周囲の安全を守る行動が求められています。

飲酒運転の同乗者にも罰則はあるのか?

飲酒運転に同乗しただけで罪になるのかという疑問は、決して珍しくありません。実際、法律上は「状況によっては同乗者も刑罰の対象になります」。この事実をまず押さえる必要があります。

飲酒運転の同乗者に対する罰則は、道路交通法第65条第4項に明記されています。運転者が酒気を帯びていることを知っていながら、自己の運送を依頼または要求し、車に同乗した場合、その行為自体が違法とされ、罰則が科されます。

●酒気帯び運転への同乗
2年以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます

●酒酔い運転への同乗
3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されます

飲酒運転の被害を防ぐには、運転者だけでなく、同乗者の行動にも明確な規範意識が求められています。責任回避のつもりで「知らなかった」「ただ乗っただけ」と主張しても、捜査の結果次第では処罰対象となるケースがあるのです。

飲酒運転「同乗罪」とは?〜同乗しただけで処罰されるのか〜

「同乗罪」という言葉は法律上の正式な用語ではありませんが、飲酒運転に加担した同乗者に適用される処罰の通称として使われています。道路交通法65条第4項違反に該当する行為を指し、「運転を依頼・要求して酒気帯び運転車に乗ること」が対象です。

以下のような誤解が少なくありません。

●誤解1:運転していないから処罰されない
実際には、酒気帯び運転を知りながら依頼・同乗した場合、同乗者にも罰則が科されます。

●誤解2:助手席でなければ関係ない
後部座席であっても、依頼・同乗の意思があれば対象になります。

●誤解3:お酒の匂いに気づかなければ大丈夫
アルコール臭や飲酒場面の同席があれば、「気づけたはず」と判断されることがあります。

同乗者が故意に飲酒運転を黙認・利用したと認定されれば、運転していない立場であっても刑罰が適用されるのです。

道路交通法65条4項が示す「同乗の禁止」とは

道路交通法第65条第4項には次のように規定されています。

「何人も、酒気を帯びている状態で自動車等を運転する者に対し、自己を運送するよう要求し、または依頼して、その車両に同乗してはならない。」

この条文が示すのは、「運転者が飲酒していると知っていながら、送ってもらうよう頼んで同乗することは法律で禁止されている」という事実です。

●ポイント1:知っていたかどうか
飲酒の事実を認識していたかどうかが重要な判断材料になります。

●ポイント2:依頼または要求
「乗せて」と頼んだ、または暗黙の了解で同乗を求めた場合も対象になり得ます。

●ポイント3:自分の運送目的
レジャー帰りや自宅までの送迎依頼など、自分の移動目的のために依頼した場合は処罰対象になります。

旅客自動車などの除外規定に注意

ただし、すべての同乗が処罰の対象になるわけではありません。条文の中には除外規定も設けられています。以下のようなケースは適用除外です。

●タクシーやバスなどの営業用車両
運転手が飲酒していたとしても、利用者側にその事実を知るすべがなかった場合や、公共交通機関として提供されていた場合は処罰対象になりません。

●会社業務としての送迎
事業上や業務命令での送迎であり、同乗者が飲酒を認識できなかったとされる場合も除外されます。

●緊急避難に該当する同乗
災害避難や急病対応など、やむを得ない状況での同乗も一定の判断材料として考慮されます。

除外に該当するかどうかは、事情・証拠により個別に判断されるため、自己判断で「大丈夫」と決めつけるのは危険です。

同乗者が罰せられる条件とは?

飲酒運転の車に同乗したからといって、必ずしもすべての同乗者が処罰されるわけではありません。処罰の対象となるのは、法律で定められた特定の条件を満たした場合に限られます。

同乗罪の成立には、以下の2つの要件が必要です。

同乗罪の成立に必要な2つの要件

●運転者の飲酒を知っていたこと
運転者が酒気を帯びている、または酒酔い状態であることを、同乗者が知っていた、あるいは知ることができたと認定される必要があります。

●同乗を依頼・要求したこと
自ら運転者に「送ってほしい」「乗せて」と依頼・要求したと認定されることが必要です。

この2点を両方満たして初めて、同乗罪が成立します。どちらか一方だけでは処罰の対象にはなりません。

「知っていた」と判断される具体的な状況とは

「知っていた」と見なされるかどうかは、警察や検察が以下のような事実関係をもとに判断します。

●アルコールの臭いがした
運転者の呼気や車内に酒の匂いがあった場合、「気づけたはず」とされる可能性があります。

●飲酒の場に同席していた
同じ場所で酒を飲んでいた、または一緒にいた事実があれば、認識していたと見なされやすくなります。

●飲酒に関する会話があった
「さっき飲んでたよね」などの発言があれば、飲酒の事実を把握していたと認定される可能性が高まります。

●運転者の言動が不自然だった
ろれつが回らない、ふらついているなどの様子から、飲酒の可能性を予見できたとされることがあります。

曖昧な記憶や「気づかなかった」という主張では、認識の否定が難しい場合もあります。証拠や状況次第では、捜査機関が「知っていた」と断定することもあり得ます。

「依頼・要求」とみなされるケースの誤解に注意

依頼・要求の要件については、以下の点が誤解されやすいため注意が必要です。

●明確に「乗せて」と言わなければセーフと思っている
口頭で依頼していなくても、同乗の意思表示があれば黙示的に「依頼した」と解釈される可能性があります。

●運転者から声をかけられたから乗っただけと思っている
誘われたとしても、自ら進んで乗った場合は「依頼した」と見なされる可能性があります。

●同乗が習慣化している(送り迎えが日常)
普段から送迎を頼んでいる関係性があれば、その延長での同乗も「依頼」と判断されることがあります。

依頼の有無は、言葉だけでなく行動全体を通じて判断されます。「頼んだつもりはない」という主観的な感覚ではなく、客観的な状況証拠によって判断されることが基本です。

同乗者が問われる3つの法的責任

飲酒運転に同乗した場合に生じる責任は、刑事処分だけではありません。実際には、次の3つの法的責任が複合的に関係します。

●刑事責任:罰則や懲役刑など、法律に基づく処罰
●行政処分:免許停止・取消などの運転資格に関わる処分
●民事責任:事故発生時の損害賠償責任

これらは個別に科されるため、たとえば刑事罰を免れたとしても、民事上の賠償責任を負うことは十分にあり得ます。

刑事責任:飲酒運転同乗罪の罰則と量刑

刑法上の罰則としては、飲酒運転の同乗者には以下のような刑が科される可能性があります。

●酒気帯び運転への同乗
2年以下の懲役または30万円以下の罰金

●酒酔い運転への同乗
3年以下の懲役または50万円以下の罰金

量刑が確定するまでには、関与の程度、同乗に至る経緯、被害発生の有無なども総合的に判断されます。重大事故につながった場合は、実刑判決の可能性も高まります。

加えて、同乗者が運転者の飲酒を促していたり、酒の提供をしていた場合には、別の罪(酒類提供罪・教唆罪等)が加算されることもあります。

行政処分:免許点数制度との関係

刑事処分とは別に、運転免許に関する行政処分も課されることがあります。同乗者に対しても、一定の条件を満たすと行政処分の対象になる可能性があります。

●点数加算の可能性
一部の法律解説では、飲酒運転の同乗者にも運転者と同様の違反点数(13点以上)が科されるとされています。

●免許停止・取消の可能性
点数の蓄積によって、免許停止(30〜90日)や免許取消(1〜5年)になる可能性があります。

ただし、同乗者に対する点数処分については、公式の法令上で明確に規定されていない部分もあり、自治体や公安委員会の運用に差が出ることもあります。この点は「未確認領域」として、慎重に取り扱う必要があります。

民事責任:事故時に同乗者が損害賠償請求されるケース

飲酒運転車が事故を起こした際、同乗者にも損害賠償責任が及ぶケースがあります。これは「共同不法行為」に該当すると判断された場合に適用されます。

●共同不法行為とは
複数人が共同で違法行為に加担し、その結果として他人に損害を与えた場合、全員が連帯して賠償責任を負う制度です。

●同乗者の行為が要因とされた場合
運転者の飲酒を知りながら同乗し、事故の予見可能性があったとされれば、同乗者にも責任が及びます。

●実例:同乗者に5300万円の賠償命令
鹿児島県の奄美市で発生した死亡事故では、運転者が酒気帯び運転をしていたことを知りながら同乗した者に対し、約5,300万円の賠償命令が出た事例があります。

民事責任は、加害者側が賠償できない場合や、被害者が複数名の場合に、同乗者にまで及ぶことがあります。単なる「同乗」のつもりが、巨額の損害賠償責任に発展することもあるため、極めて深刻なリスクです。

同乗者が問われないケースもある?

飲酒運転に同乗したからといって、必ずしも罰せられるとは限りません。同乗罪の成立には明確な要件があり、それが満たされていない場合は処罰の対象外となるケースも存在します。

ここでは、「罰せられないケース」に該当し得る具体的な条件と、判断の分かれ目となるポイントを整理します。

「知らなかった」は本当に通用するのか

同乗罪の成立には「運転者の飲酒を知っていたこと」が必要とされます。そのため、以下のようなケースでは「知らなかった」が認められ、処罰されない可能性があります。

●飲酒場面を見ていない
運転者の飲酒現場に同席しておらず、飲んだかどうか確認できなかった場合

●アルコールの臭いを感じなかった
呼気や車内に臭いがなかった場合、認識の可能性が低いと判断されやすくなります

●運転者の様子が通常と変わらなかった
ろれつ、歩行、態度などに異常がなく、酔っていると判断しづらい状態だった場合

ただし、「知らなかった」と主張するには、合理的な根拠と状況証拠が必要です。単なる言い逃れと判断されれば、その主張は退けられます。

実際に不起訴とされたケースもあります。埼玉県三郷市では、飲酒運転の車に同乗していた女性が「飲酒に気づかなかった」と主張し、不起訴処分となった例があります。

「後部座席だった」「寝ていた」は免責されるか

同乗時の位置や行動が、処罰の可否に影響する場合があります。ただし、単に後部座席にいた、寝ていたという理由だけで必ず免責されるとは限りません。

●後部座席で意識があった場合
後部座席でも会話をしていた、飲酒を確認できる位置にいたなどの事実があれば「知っていた」と判断される可能性があります。

●寝ていたが、同乗前に飲酒を知っていた場合
乗車前の行動や会話で飲酒を知っていたとされると、寝ていたという主張は通用しません。

●明確に同乗を断ろうとした形跡がある場合
「運転しない方がいい」と止めた記録や証言があれば、責任が軽減または免除される可能性があります。

判断材料は、防犯カメラ映像・通話履歴・LINEメッセージ・第三者証言など、多岐にわたります。どんな行動を取ったかが、責任の有無を大きく左右します。

周辺者三罪とは何か?

飲酒運転に関与した立場は、同乗者だけではありません。道路交通法では、飲酒運転を間接的に支援・黙認した立場の人にも処罰が科される場合があります。これが「周辺者三罪」と呼ばれる法的区分です。

この3つの罪は、同乗罪・車両提供罪・酒類提供罪で構成され、いずれも「飲酒運転に加担した」と判断される行為を取り締まる目的で設けられています。

車両提供罪:飲酒を知りつつ車を貸した場合

●法的根拠:道路交通法65条第2項
●構成要件:酒気帯び運転をするおそれがある者に車両を提供したこと
●罰則内容:
・酒気帯びの場合:3年以下の懲役または50万円以下の罰金
・酒酔いの場合:5年以下の懲役または100万円以下の罰金

この罪に問われるのは、家族や知人に対して「飲んでいるのを知りながら車を貸した」ケースです。単なる好意や習慣で車を貸したとしても、飲酒を知っていれば罪に問われるリスクがあります。

酒類提供罪:飲酒を止めずに勧めた場合

●法的根拠:道路交通法65条第3項
●構成要件:酒気帯び運転をするおそれのある者に酒類を提供・勧奨したこと
●罰則内容:
・酒気帯びの場合:2年以下の懲役または30万円以下の罰金
・酒酔いの場合:3年以下の懲役または50万円以下の罰金

この罪に該当するのは、運転予定者に対して酒を勧めたり、止めるべき立場でありながら止めなかった場合です。家庭内や職場の飲み会など、日常的な場面でも該当し得ます。

これらの周辺者三罪は、「運転者が飲んで運転したかどうか」だけでなく、「誰がそれを助長・黙認したか」にも着目しています。飲酒運転の責任は、運転者一人ではなく、周囲の対応や行動次第で広がるという現実を示しています。

同乗者として取るべき5つの対策

飲酒運転に同乗することで刑事・民事・行政の3つの責任を問われるリスクがある以上、未然に防ぐ行動が極めて重要です。単に「気をつけよう」では済まず、明確な判断基準と行動策を持つことが、自分と他人の人生を守る鍵になります。

ここでは、現実的かつすぐに実践できる5つの対策を紹介します。

運転予定者には飲ませない/酒を勧めない

●飲酒を勧めることで「酒類提供罪」に問われるリスクがある
運転する予定がある人には、例え軽い気持ちでも酒を勧めないことが重要です。

●運転予定者の飲酒を止めるのは同席者の責任でもある
周囲が止めることで飲酒運転を未然に防げる可能性があります。

●「少しなら大丈夫」という油断が最も危険
血中アルコール濃度は個人差が大きく、判断能力の低下は早期に始まります。

飲酒運転しそうな人には同乗を断る

●「送ってあげる」という誘いは明確に断る
飲酒を確認した時点で、同乗を頼む・受ける行為そのものが違法になる可能性があります。

●断る勇気が命を守る
同調圧力に負けてしまうと、自分の人生も巻き込まれる可能性があります。

●「申し訳ない」ではなく「法律違反だから」と理由を明確に伝える
相手との関係性よりも法的な責任回避が優先です。

怪しいと感じたら鍵を預かる/代行・タクシーを活用する

●酔っているか微妙なときは「鍵を預かる」ことも選択肢
運転者が抵抗することもありますが、同乗して事故に巻き込まれるよりはるかに安全です。

●代行運転サービスの活用を提案する
費用はかかりますが、刑罰・免許取消・賠償責任のリスクと比べればわずかな負担です。

●深夜・遠方でも迷わずタクシーや公共交通機関を選ぶ
帰宅手段は「安全最優先」で選択すべきです。

飲酒を止める環境づくりを意識する

●飲み会前に「飲む人・運転する人」を分けておく
事前に役割を明確にしておくことで、無意識の飲酒リスクを防げます。

●飲酒場面で運転予定者がいるときは周囲が声をかける
「今日は運転だから飲まないよね?」という一言が抑止力になります。

●車で来ている人には、アルコールの提供そのものを控える
お酒を出す側にも責任が問われる可能性があります。

飲酒運転を止める仕組みを職場・家庭で作る

●飲み会後の移動手段を事前に共有・準備しておく
代行業者の連絡先をメモしておく、上司が事前に案内しておくなどの工夫が有効です。

●会社・家族内で「飲酒運転撲滅ルール」を明文化する
「飲酒運転をしたら同乗も処罰される」ことを全員が理解しておくと、共通認識が高まります。

●事故や処罰の事例を共有する
実際の裁判例やニュースを資料として共有すれば、危機感を持たせやすくなります。

飲酒運転は、たった一度の油断や「これくらい大丈夫」という甘さで、取り返しのつかない結果を招きます。同乗を避ける判断力と、止める勇気こそが、社会全体の安全を守る第一歩です。

【事例紹介】実際に同乗者が処罰・損害賠償されたケース

ここでは、同乗者が実際に処罰を受けた、または損害賠償の責任を問われたケースを紹介します。理屈では理解していても、「自分にも起こり得ることだ」と実感するには、具体的な事例の確認が最も効果的です。

山形地裁の事例:同乗者に6200万円の賠償命令

●事件概要
飲酒運転の車に同乗した男性が、事故によって同乗者を死亡させた事件。男性は酒気帯び運転であることを認識しながらも、同乗を依頼したとされました。

●判決内容
同乗者である男性に対して、遺族に約6,200万円の損害賠償命令が出されました。

●判断のポイント
「飲酒の認識があった」「同乗の依頼をしていた」「予見可能性があった」とされたことが、民事責任認定の根拠となりました。

宇都宮地裁の事例:「送って」と依頼しただけで同乗罪成立

●事件概要
飲酒運転をしていた知人に「家まで送って」と頼んで同乗した女性が、同乗罪で逮捕・起訴されました。

●判決内容
道路交通法65条第4項違反が成立し、有罪判決となりました。

●判断のポイント
「送迎の依頼」があったこと、「飲酒を知っていた」とされる証拠(会話記録・状況証拠)が重視されました。

最高裁の判断:単なる「黙認」では処罰されないことも

●事件概要
友人の飲酒運転を止めず、後部座席で黙って乗っていた人物が処罰された事件が、上告審まで争われました。

●判決内容
最高裁は「黙認だけでは同乗罪の構成要件を満たさない」として、無罪判断を下しました。

●判断のポイント
「依頼・要求の意思表示がなかった」「飲酒の明確な認識がなかった」ことが無罪の根拠とされました。

これらの事例からわかるのは、同乗罪の成立には「知っていた」「依頼した」の2要件が明確に必要だという点です。逆に言えば、そのどちらかを回避できれば、処罰を免れる可能性もあるということです。

ただし、意図的な隠蔽や、責任逃れの主張は通用しません。行動の全体像と、第三者から見てどう見えるかが、判断基準になります。

法改正・最新動向に注意を

飲酒運転に関する法制度は、近年さらに厳格化の方向に進んでいます。「今は対象外でも、将来的に処罰対象が拡大される可能性がある」ことを常に意識する必要があります。法改正や運用強化の流れを知っておくことは、リスク回避に直結します。

自転車の飲酒運転への罰則強化も進行中

これまで「軽車両」に分類される自転車には、飲酒運転による罰則が曖昧な部分もありました。しかし、令和以降の法改正によって、自転車に対しても飲酒運転の取り締まりが強化されています。

●自転車でも飲酒運転は処罰対象
道路交通法上、自転車は「車両」として扱われるため、飲酒状態での運転は違法です。実際に検挙されるケースも増えています。

●罰則強化により、送迎や併走でもリスクが拡大
今後、飲酒状態の自転車に同乗していた人への責任や、併走者への規制が強化される可能性もあります。

●飲酒の疑いがある者に車両を提供した場合、対象車種が拡大される可能性あり
原動機付自転車や電動キックボード等も、新しい乗り物の登場に合わせて適用範囲が調整されています。

このように、飲酒運転をめぐる法律は、社会情勢や技術進化に応じて拡張・更新されていく動きがあることを踏まえておくことが大切です。

まとめ

飲酒運転への同乗は、「ただ乗せてもらっただけ」では済まされない重大な行為です。運転していない立場でも、運転者の飲酒を知りながら依頼・要求して同乗した場合には、道路交通法違反として罰則の対象になります。

また、同乗者には以下の3つのリスクが同時に発生する可能性があります。

●刑事罰:懲役または罰金
●行政処分:免許点数加算、停止・取消(未確認情報含む)
●民事責任:数百万円〜数千万円の損害賠償責任

さらに、車両を貸した、酒を勧めたといった行為でも、「周辺者三罪」として別の刑罰が科される可能性があります。これらを知らずに行動すれば、取り返しのつかない結果を招きかねません。

その一方で、同乗罪の成立には明確な要件があります。「知っていたか」「依頼・要求があったか」の2点が判断の軸となります。これを理解していれば、リスクを回避する行動を選ぶことができます。

最後に、飲酒運転に同乗しないための行動指針として、以下の5つを改めて意識してください。

●運転予定者には酒を飲ませない・勧めない
●飲酒運転の可能性がある場合は同乗を断る
●代行・タクシーなど代替手段を優先する
●飲み会の前に移動手段を決めておく
●職場や家庭で飲酒運転に関するルールを共有する

自分の意識と行動次第で、法的なリスクは大きく減らせます。「知らなかった」では済まされない時代だからこそ、正しい知識と具体的な行動が求められているのです。