2024.12.11

2026.09.10

  • コラム

直行直帰のアルコールチェック方法|遠隔確認と記録の実務

直行直帰する従業員について、「会社に寄らない日はアルコールチェックをどうすればよいのか」と迷う担当者は少なくありません。早朝や深夜に運転があると、安全運転管理者が毎回対面するのは現実的ではないでしょう。

結論として、直行直帰でも対象運転者の酒気帯び確認は必要です。ただし、対面が難しい場合は、携帯型アルコール検知器とカメラや電話を組み合わせた「対面に準ずる方法」で実施できます。

この記事では、次の内容を実務の順番に沿って解説します。

  • 確認が必要なタイミング
  • 遠隔で認められる確認方法
  • 記録項目と保存期間
  • 補助者と異常時の対応
  • クラウドで効率化できる範囲

自社の勤務形態に合わせた手順を決めれば、確認のためだけの出社を避けながら、確認漏れや記録漏れを抑えられます。当社のクラウド型アルコールチェックサービス「ALCOMS(コムズ)」を含め、導入費用を先に把握したい方は料金シミュレーションをご利用ください。

費用を見える化

遠隔運用の導入検討

運用人数に応じた費用を確認し、導入判断に役立てられます。

直行直帰でもアルコールチェックは必要

直行直帰は勤務場所や移動経路の違いであり、酒気帯び確認を免除する条件ではありません。安全運転管理者を選任する事業所では、業務として運転しようとする運転者と、運転を終了した運転者の状態を確認します。

確認では、運転者の顔色や呼気の臭い、応答する声の調子などを目視等で確かめることに加え、アルコール検知器を使用します。検知器の数値だけでなく、運転者の状態も確認する点が重要です。

なお、どの事業所や車両が制度の対象になるかは別の論点です。本記事では、安全運転管理者制度の対象事業所で、従業員が直行直帰時に業務上の運転をするケースを前提にします。

対面確認が原則でも遠隔実施は可能

酒気帯び確認は対面が原則です。一方、直行直帰などで対面確認が難しい場合は、対面による確認と同じように状態と測定結果を確かめられる方法が認められています。

したがって、遠隔で実施すること自体に問題があるわけではありません。重要なのは、映像または直接対話によって状態確認を成立させることです。単に数値を受け取るだけの運用にしないよう注意しましょう。

確認するのは一連の運転業務の開始前と終了後

酒気帯び確認は、車に乗るたびに毎回行わなければならないとは限りません。警察庁は「運転」を一連の業務として捉え、運転を含む業務の開始前と終了後に行えば足りると示しています。

直行直帰の場合も、自宅を出る直前ではなく、運転を含む業務の開始前・終了後という軸で社内ルールを決めます。

場面 基本の確認タイミング 注意点
自宅から訪問先へ直行 一連の運転業務を始める前 確認完了前に運転を開始しない
訪問先を複数回る 業務開始前と業務終了後 個々の移動ごととは限らない
最終訪問先から自宅へ直帰 一連の運転業務を終えた後 帰宅運転を含む場合は終了時点を明確にする
業務を中断して再開 社内で定めた業務単位に従う 判断に迷う場合は所轄警察署へ確認する

勤務や運行の形態によって「一連の業務」の区切りは変わり得ます。勤務表、運行指示、車両利用記録の区切りをそろえ、運転者ごとに解釈が分かれないようにしましょう。

直行時と直帰時の標準フロー

遠隔運用は、担当者の経験に任せず、開始前と終了後で同じ流れに統一します。

  1. 氏名や顔などで対象の運転者本人か確認する。
  2. 顔色や応答の声の調子などから状態を確認する。
  3. 正常に使用できるアルコール検知器で測定させる。
  4. 測定結果と確認内容を所定の台帳やシステムへ記録する。
  5. 酒気帯びの有無を判断し、必要な指示を伝える。

終了後も、測定と状態確認の両方が必要です。運転者が測定して終わりにせず、誰が結果を確認し、いつ記録を確定するかまで決めてください。

遠隔確認は映像か直接対話を組み合わせる

遠隔確認には、カメラやモニターを使う方法と、携帯電話や業務無線を使う方法があります。どちらもアルコール検知器を用い、管理者側が運転者の状態と測定結果を確認する点は共通です。

測定・状態確認・直接のやり取りを一つの手順にすると、形式だけの確認になるのを防げます。

方法 確認する内容 向く場面 注意点
カメラ・ビデオ通話 顔色、応答、測定結果 映像通信が安定する場所 画面越しに結果を確認できる映し方を決める
携帯電話・業務無線 声の調子、測定結果の報告 映像通信が難しい場所 運転者と直接対話できる状態で行う
メール・チャット 数値、写真、送信時刻 記録の補助 これだけで確認を終えない

カメラ・ビデオ通話で確認する方法

運転者には携帯型アルコール検知器を携行させます。確認時はカメラで本人の顔色や応答の様子を見ながら、検知器の測定結果も確認します。

映像をつなぐだけでは十分ではありません。氏名、これから使用する車両、体調などを質問し、応答の様子と測定結果をリアルタイムで確かめる流れにします。終了後も同様に確認し、担当者が記録を残します。

電話・業務無線で確認する方法

映像が使えない場合は、携帯電話や業務無線など、運転者と直接対話できる方法を利用できます。会話を通して声の調子を確認し、検知器の測定結果を報告させます。

映像がないため顔色は確認できませんが、警察庁は直接対話しながら声の調子と結果を確認する方法を例示しています。質問項目を定型化し、担当者ごとの確認品質に差が出ないようにすると運用しやすくなります。

メール・チャット送信だけでは不十分

測定値や検知器画面の写真をメール・チャットで送るだけでは、運転者の応答や声の調子を直接確認できません。非同期の送信だけで対面に準ずる確認を終えるのは避けるべきです。

メールやチャット、クラウドへの自動送信は、測定結果を残す手段としては役立ちます。ただし、カメラや電話による状態確認と組み合わせ、確認者が判断した事実を記録する必要があります。

当社のALCOMSは、測定結果の自動送信に加え、顔認証、顔写真の自動取得、位置情報の記録などで本人確認と実施確認を支援します。状態確認の社内手順は別途整えたうえで、記録の散在や手入力を減らしたい場合に活用できます。

遠隔確認を具体化

本人確認と記録を支援

顔認証や位置情報を使い、離れた場所の実施状況を確認できます。

遠隔でも8項目を記録して1年間保存

確認方法が遠隔でも、記録内容と保存期間は変わりません。酒気帯び確認の内容は、次の8項目を記録して1年間保存します。

紙やExcel、クラウドのいずれを使う場合も、必要項目を後から確認できる状態で残すことが大切です。

記録項目 記載例 遠隔時の注意
確認者名 山田太郎 補助者が行った場合も実施者名を残す
運転者 佐藤花子 本人確認と一致させる
車両識別情報 富山300あ1234 登録番号または識別可能な番号を使う
確認日時 2026年9月10日7時30分 開始前・終了後を区別する
確認方法 ビデオ通話 非対面時は具体的な方法を書く
酒気帯びの有無 なし 測定値だけでなく判定を残す
指示事項 運転可 中止や再確認の指示も記録する
その他必要事項 体調に問題なし 事業所で必要な補足を定める

記録様式を開始前用と終了後用に分ける方法もあります。どの形式でも、未記入欄を発見でき、必要なときに検索・表示できるように管理しましょう。

携行する検知器も常時有効に保つ

遠隔で使う携帯型アルコール検知器も、安全運転管理者が正常に使える状態を管理します。運転者に渡した後を個人任せにしてはいけません。

保管方法
高温多湿を避けるなど、メーカーの取扱説明書に沿った条件を運転者へ周知します。
動作確認
電源や表示だけでなく故障の有無を定期的に確認し、確認日と担当者を残します。
交換・保守
メーカー指定の校正、センサー交換、使用回数などを管理し、有効な状態を保ちます。
故障時の代替
予備機の保管場所と受け渡し方法を決め、故障機で測定を続けないルールにします。

機種ごとに保守条件が異なるため、社内の一律ルールだけでなく、使用する機器の説明書を基準にしてください。

管理者不在時は教育した補助者へ任せられる

早朝や深夜など、安全運転管理者本人が対応できない時間帯もあります。その場合は、副安全運転管理者や、安全運転管理者の業務を補助する者に確認を行わせることができます。

ただし、単に当番を割り当てるだけでは不十分です。補助者が迷わず確認・報告・指示につなげられる体制を用意します。

  1. 対応時間帯ごとに補助者をあらかじめ指定する。
  2. 状態確認、測定、記録、異常判定の手順を教育する。
  3. 通常時の確認結果を安全運転管理者へ共有する。
  4. 有反応時は直ちに報告し、運転中止等の指示につなげる。

補助者が酒気帯びや正常運転できないおそれを確認した場合は、安全運転管理者へ速やかに報告します。安全運転管理者から必要な対応の指示を受けるか、安全運転管理者が運転者へ直接、運転中止等を指示できる連絡体制が必要です。

他事業所で確認する場合の条件

出張先など、同じ自動車の使用者が別の事業所にも安全運転管理者を選任している場合は、他事業所での確認を活用できることがあります。

他事業所の安全運転管理者の立会いの下で、その事業所が有効に保持する検知器を使い、結果を所属事業所の安全運転管理者へ直接対話できる方法で報告する流れです。誰が立ち会い、誰が最終確認し、どこへ記録するかを事前に決めましょう。

事業所の関係や実施方法によって扱いが変わり得ます。個別の運用に迷う場合は、開始前に所轄警察署へ確認してください。

直行直帰の運用は例外対応まで手順化する

直行直帰では、管理者が現場にいないため、確認漏れや連絡待ちが見えにくくなります。通常時の手順に加え、有反応、通信障害、検知器故障、管理者不在を想定しておくことが欠かせません。

通常ルートと代替ルートを同じ手順書にまとめると、早朝や緊急時にも判断が止まりにくくなります。

決めること 主な担当 代替策 記録先
開始前・終了後の受付時間 安全運転管理者 補助者へ切り替え 当番表
遠隔確認の方法 確認者 映像から電話へ変更 確認記録
有反応時の指示 安全運転管理者 指定連絡先へ即時報告 指示事項欄
検知器の故障 機器管理担当 予備機へ交換 保守台帳
未実施者の把握 管理者・補助者 電話で個別確認 未実施一覧

手順書には、連絡先だけでなく「何分連絡が取れなければ次の担当へ切り替えるか」などの条件も定めます。ただし、確認できない状態のまま運転を認める代替策にはしないでください。

有反応・通信障害・未実施への対応

有反応
運転を開始させず、安全運転管理者へ速やかに報告します。再測定だけで自己判断せず、指示内容まで記録してください。
通信障害
ビデオ通話がつながらない場合は、直接対話できる電話等へ切り替えます。どちらも使えない場合の連絡先と待機ルールを決めます。
検知器故障
故障が疑われる機器は使い続けず、正常な予備機へ交換します。予備機を受け取れない場合の運転可否判断も事前に明文化します。
未実施
業務開始予定時刻を過ぎた対象者を把握し、運転開始前に確認します。本人任せの申告だけで完了扱いにしません。

例外時の判断は、補助者個人へ背負わせないことが重要です。安全運転管理者へ報告し、運転中止等の指示を確実に伝える経路を複数用意しましょう。

人数が増えたらクラウドで収集・共有を効率化

対象者が増えると、電話の受付だけでなく、紙やExcelへの転記、写真の照合、未実施者への連絡が管理者の負担になります。クラウド型サービスは、こうした結果の収集・共有・保存を効率化する選択肢です。

当社のALCOMSでは、検知結果をクラウドへ自動送信し、管理画面で確認できます。顔認証、測定時の位置情報、未検知者リスト、有反応時アラート、点呼記録の作成なども、離れた場所の実施状況を管理する助けになります。

一方、システムへ結果が届いただけで、法令上必要な状態確認が自動的に完了するわけではありません。カメラや電話を使う確認手順、確認者、異常時の連絡経路は事業所側で定める必要があります。

手入力や個別連絡に時間がかかっている場合は、どの作業を自動化し、どの判断を人が担うかを切り分けてください。ALCOMSの料金シミュレーションでは、検討条件に応じた費用の目安を確認できます。

記録業務を整理

未実施もまとめて確認

結果の自動送信と一覧管理で、確認状況を把握しやすくします。

まとめ|直行直帰のアルコールチェック運用を標準化

直行直帰でも、対象となる運転者のアルコールチェックは省略できません。対面が難しい場合は、携帯型検知器とカメラまたは直接対話できる電話等を組み合わせ、顔色や声の調子と測定結果を確認します。

確認時点は一連の運転業務の開始前・終了後です。8項目の記録と1年間の保存、検知器の保守、補助者の教育、有反応・通信障害時の連絡体制まで手順に落としましょう。

まずは現在の運用を洗い出し、確認方法、担当者、記録先、代替手段の空欄を埋めてください。人数や拠点が多く、転記や未実施者の把握が負担なら、クラウドで効率化する範囲を検討するのが現実的です。当社では、ALCOMSが自社の直行直帰運用に合うか、具体的な条件を伺ったうえでご案内します。

運用見直しの相談

自社に合う方法を確認

人数や勤務形態を伺い、無理なく続けられる管理方法をご案内します。