2024.11.12

2026.06.16

  • コラム

2023年の道路交通法改正:企業のリスクと対応策

道路交通法改正とアルコールチェック義務化の企業対応

2023年12月から、安全運転管理者を選任する事業所では、アルコール検知器を用いた酒気帯び確認が実務上の重要テーマになりました。対象条件、直行直帰時の確認、記録保存、違反時のリスクまで整理しないまま運用を始めると、現場の負担や記録漏れにつながります。

この記事では、道路交通法改正に関連するアルコールチェック義務化について、企業が確認すべき内容を次の順で整理します。

  • 義務化の背景と施行時期
  • 対象事業所の確認方法
  • 運転前後の確認と記録保存
  • 直行直帰・出張時の運用
  • 違反時のリスクと体制づくり

最終的には、法令対応を形式的なチェックで終わらせず、飲酒運転による事故を防ぐための社内体制として定着させることが重要です。

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道路交通法改正で変わった義務の全体像

アルコールチェック義務化は、業務で自動車を使う企業に対し、運転者の酒気帯び確認をより確実に行わせるための見直しです。一般に「道路交通法改正に伴う義務化」と説明されますが、実務では安全運転管理者の業務拡充として理解すると整理しやすくなります。

まず押さえるべきなのは、目視等による確認と記録保存は2022年4月から始まり、アルコール検知器を使った確認は2023年12月1日から施行されたという点です。

時期 義務化された内容 企業が確認すること
2022年4月1日 目視等による酒気帯び確認と記録保存 確認方法と記録様式
2023年12月1日 アルコール検知器を用いた確認 検知器の準備と管理
継続対応 記録の1年間保存と検知器の常時有効保持 保存体制と保守体制

この義務は、単に測定値を残すためのものではありません。運転者の状態を確認し、必要な指示を出し、事故を未然に防ぐための安全管理の仕組みです。

義務化の背景は飲酒運転防止の強化

飲酒運転は、運転者本人だけでなく、同乗者、歩行者、取引先、地域社会まで巻き込む重大な事故につながります。企業が業務で車両を使う以上、運転者任せにせず、組織として確認する仕組みが必要です。

特に社用車、営業車、配送車、送迎車などは、日常業務の中で運転が発生します。日々の確認を管理者の努力だけに頼らない体制を作ることが、コンプライアンスと安全の両面で欠かせません。

2023年12月から検知器使用が実務上の焦点

2023年12月以降の実務で中心になるのは、アルコール検知器を使った確認、記録保存、検知器の管理です。どれか一つだけ整えても、運用としては不十分になりやすい点に注意しましょう。

検知器を用いた確認
呼気中のアルコールの有無や濃度を、警告音、警告灯、数値などで示す機器を使います。目視等の確認と合わせて、運転者の状態を確認します。
記録の保存
酒気帯び確認の内容は、確認者、運転者、日時、確認方法、酒気帯びの有無、指示事項などを記録し、1年間保存します。
検知器の管理
検知器は正常に作動し、故障がない状態で保持する必要があります。取扱説明書に基づく使用、保守、定期確認が前提です。

対象事業所が確認すべき安全運転管理者の条件

アルコールチェック義務化への対応では、自社が安全運転管理者の選任義務の対象かを最初に確認します。対象かどうかは、会社全体の車両数だけでなく、自動車の使用の本拠、つまり事業所ごとに見る必要があります。

対象判定を誤ると、義務化対応そのものが後回しになります。まず車両台数、乗車定員、事業所単位をそろえて確認することが出発点です。

確認項目 基準 注意点
乗車定員11人以上の自動車 1台以上 送迎車などは特に確認
その他の自動車 5台以上 営業車や社用車を含めて確認
自動二輪車 1台を0.5台換算 大型・普通自動二輪が対象
判定単位 事業所ごと 使用の本拠単位で整理
対象外の例 運行管理者等を置く一定事業者 個別条件は確認が必要

安全運転管理者の選任義務に該当する場合、酒気帯び確認だけでなく、運転者の安全を確保するための複数の業務を継続的に行う必要があります。

事業所単位で車両台数を確認

車両台数は、会社全体で合算するだけではなく、どの事業所を使用の本拠としているかを確認します。営業所、支店、工場、店舗などで車両の管理が分かれている場合は、拠点ごとの一覧化が必要です。

迷いやすいのは、共用車、リース車、直行直帰で使う車両、二輪車をどう数えるかです。個別の該当性に不安がある場合は、所轄警察署などの公的窓口に確認する前提で整理しておくと、社内判断のぶれを減らせます。

安全運転管理者の業務範囲を把握

安全運転管理者の業務は、アルコールチェックだけではありません。社内体制を作るときは、運転に関わる管理業務全体の中に酒気帯び確認を組み込みます。

  • 運転者の状況把握
  • 安全運転の運行計画
  • 長距離・夜間運転時の配慮
  • 点呼等による状態確認
  • 酒気帯び確認と記録保存
  • 運転日誌と安全運転指導

この範囲を理解しておくと、アルコールチェックを単独の作業ではなく、日常点検、運転日誌、労務管理、車両管理と連動させやすくなります。

アルコールチェック義務化で必要な運用手順

義務化対応で重要なのは、誰が、いつ、どの方法で確認し、どの項目を記録するかを固定することです。担当者の記憶や口頭報告だけに頼ると、繁忙時や直行直帰時に抜け漏れが起きやすくなります。

日々の運用は、次の流れで設計します。

  1. 対象となる運転者を確認する。
  2. 運転を含む業務の開始前に確認する。
  3. 運転を含む業務の終了後に確認する。
  4. 測定結果と必要な指示を記録する。
  5. 記録を1年間保存する。
  6. 検知器を正常に使える状態で管理する。

酒気帯び確認は、必ずしも個々の運転の直前・直後に毎回行うものではなく、一連の業務としての運転について、業務開始前や出勤時、終了後や退勤時に行うことで足りる場合があります。ただし、社内ルールでは自社の勤務形態に合わせて、確認タイミングを明確にしておくことが大切です。

運転前後に確認する内容

酒気帯び確認では、アルコール検知器の数値だけを見ればよいわけではありません。運転者の状態を目視等で確認し、必要に応じて運転中止などの指示につなげます。

目視等の確認
顔色、呼気の臭い、応答の声の調子などを確認します。対面が原則ですが、直行直帰などでは対面に準ずる方法を検討します。
検知器による測定
呼気中のアルコールを検知し、有無または濃度を示す機器を使います。測定結果を記録と管理者確認につなげます。
必要な指示
酒気帯びが疑われる場合は、運転中止など安全確保に必要な指示を行います。指示内容も記録に残します。

測定結果が残っていても、確認者、確認方法、指示事項が曖昧では運用として弱くなります。確認から記録までを一つの業務として扱うことがポイントです。

記録すべき8項目

酒気帯び確認を行った場合は、記録すべき項目をあらかじめ固定しておきます。紙、Excel、クラウドシステムのどれを使う場合でも、記録項目が欠けない設計にすることが重要です。

項目 記録内容の例 漏れやすい注意点
確認者名 安全運転管理者、補助者名 補助者の場合も明記
運転者 運転者の氏名 IDだけで終わらせない
車両識別情報 登録番号、管理番号 共用車で漏れやすい
確認日時 開始前、終了後の日時 後入力は誤差に注意
確認方法 対面、電話、カメラ等 非対面は具体的方法も記録
酒気帯びの有無 有無、測定結果 判定だけでなく結果を管理
指示事項 運転可、運転中止等 異常時ほど記録が重要
その他必要事項 特記事項、再測定など 社内ルールで統一

この8項目は、事故や監査の場面で「確認したか」を説明するための基本情報になります。記録の保存期間は1年間です。

検知器を常時有効に保持

アルコール検知器は、用意しただけでは十分ではありません。正常に作動し、故障がない状態で保持しておくことが求められます。

保管
検知器を誰がどこで保管するかを決めます。共用する場合は、使用後の管理や衛生面のルールも必要です。
点検
取扱説明書に基づき、定期的に故障の有無を確認します。点検日や担当者も記録しておくと管理しやすくなります。
交換・メンテナンス
センサーの劣化や測定回数の上限に備え、交換時期を管理します。検知器管理も義務化対応の一部として扱いましょう。

検知器が使えない状態では、確認フロー全体が止まります。予備機、メンテナンス通知、故障時の代替手順まで決めておくと、現場の混乱を抑えられます。

直行直帰・出張時の確認方法と注意点

直行直帰や出張が多い企業では、対面確認が難しい場面が出てきます。酒気帯び確認は対面が原則ですが、対面での確認が困難な場合には、対面に準ずる方法で実施できるとされています。

ただし、遠隔であれば何でもよいわけではありません。検知器の測定結果と運転者の状態確認を組み合わせることが重要です。

ケース 使える確認方法 記録・指示の注意点
直行直帰 携帯型検知器とカメラ等 顔色や測定結果も確認
電話確認 携帯電話、業務無線等 声の調子と結果報告を記録
出張先 他事業所の管理者が確認 所属事業所へ結果を報告
管理者不在 補助者による確認 事前指定と教育が必要

遠隔運用では、確認者が結果を見たか、運転者本人の状態を確認したか、異常時の指示ができるかを明確にしておく必要があります。

直行直帰は検知結果と状態確認をセットにする

直行直帰の場合は、運転者に携帯型アルコール検知器を携行させ、カメラやモニターで顔色や応答の様子と測定結果を確認する方法が考えられます。電話や業務無線など、運転者と直接対話できる方法で声の調子と測定結果を確認する方法もあります。

このとき、測定値の自己申告だけで完結させると、確認として弱くなります。非対面で行った場合は、確認方法を具体的に記録し、必要な指示を出せる体制にしておきましょう。

出張先や別拠点で確認する場合

出張先や別拠点で運転を開始・終了する場合は、同じ自動車の使用者が他の事業所で安全運転管理者を選任しているかが関係します。該当する場合は、次のような流れで扱える場合があります。

  1. 他事業所の安全運転管理者が状態を確認する。
  2. 有効に保持する検知器で測定する。
  3. 結果を所属事業所の管理者へ報告する。
  4. 必要時は運転中止等を指示する。

出張や拠点間移動が多い企業では、所属元と出張先のどちらが確認し、誰が記録を保存するかを事前に決めておくと安心です。

補助者に任せる場合の教育と報告体制

安全運転管理者が不在、または他業務で確認時間を十分に確保できない場合は、副安全運転管理者や補助者に酒気帯び確認を行わせることが差し支えない場合があります。任せきりにせず、安全運転管理者が管理できる仕組みにすることが前提です。

事前指定
誰を補助者にするかをあらかじめ決めます。属人的にその場で頼む運用では、責任範囲が曖昧になります。
確認方法の教育
目視等の確認、検知器の使い方、記録項目を教育します。補助者でも同じ基準で確認できる状態を目指します。
異常時の報告
酒気帯びを確認した場合は、安全運転管理者へ速やかに報告し、運転中止など必要な対応につなげます。

補助者を置く場合ほど、記録様式や報告ルートの統一が重要です。確認者が増えても、判断基準と記録品質がばらつかないようにしましょう。

違反時に想定される法的リスクと企業責任

アルコールチェック義務化への対応を怠るリスクは、罰則だけではありません。飲酒運転が発生した場合、企業は安全管理体制、教育、確認記録、車両管理の妥当性を問われる可能性があります。

ペナルティを恐れるだけでなく、事故を防ぐために説明できる運用を残すという視点で体制を整えることが大切です。

リスク 起こり得る問題 企業が取るべき予防策
未選任 選任義務違反の罰則 対象車両を定期確認
確認漏れ 酒気帯び運転の見逃し 開始前・終了後の運用固定
記録不備 事故時に説明できない 8項目と保存期間を統一
検知器不良 測定できない、信頼性低下 点検と交換時期を管理
教育不足 補助者や運転者の判断ミス 研修と報告ルールを整備

リスク管理では、違反が起きた後の対応では遅くなります。日々の確認が無理なく続く仕組みを作ることが、最も現実的な予防策です。

安全運転管理者の未選任は罰則対象

安全運転管理者の選任義務違反に対する罰則は、2022年10月1日から50万円以下の罰金に引き上げられました。対象事業所であるにもかかわらず選任していない場合は、法令上のリスクがあります。

また、選任しただけで終わりではありません。選任後の届出、酒気帯び確認、記録保存、検知器管理、運転者への指導まで実行できているかを確認する必要があります。

飲酒運転は周辺者にも責任が及ぶ

飲酒運転のリスクは、運転者本人だけに閉じません。企業が車両を管理する立場にある以上、車両提供や勤務中の運転管理も含めて注意が必要です。

運転者
酒酔い運転や酒気帯び運転には、行政処分や刑事罰があります。業務中であれば、企業の管理体制も問われかねません。
車両等提供者
飲酒運転につながる車両等の提供にも罰則があります。社用車の鍵や予約管理を含め、利用管理を徹底します。
酒類提供者・同乗者
酒類提供や同乗にも罰則が及ぶ場合があります。従業員教育では、飲酒運転をしないだけでなく、させない行動まで伝える必要があります。

飲酒運転は「本人の問題」と切り離せません。職場全体で、飲酒後や二日酔いの可能性がある状態で運転しない文化を作ることが重要です。

記録不備は説明責任のリスクになる

記録が残っていない、確認方法が曖昧、指示事項が書かれていないと、万一の事故や社内調査で「確認した」と説明しにくくなります。特に直行直帰や補助者確認では、運用が属人化しやすい点に注意が必要です。

記録不備は、単なる事務ミスではなく、企業の安全管理体制への信頼に関わります。定期的に記録を見直し、漏れや偏りを修正する仕組みを作りましょう。

企業が整えるべき体制とコムズ活用の考え方

アルコールチェック義務化への対応は、検知器を購入して終わりではありません。社内ルール、担当者、補助者、従業員教育、記録監査、検知器メンテナンスまで含めて、毎日続けられる形にする必要があります。

まずは現在の運用を棚卸しし、誰が休んでも同じ基準で確認できる状態を目指しましょう。

社内ルール
対象運転者、確認タイミング、確認方法、異常時の対応を明文化します。直行直帰や出張時の扱いも含めます。
担当者・補助者
安全運転管理者だけに負担が集中しないよう、補助者の指定と報告ルートを整えます。
従業員教育
飲酒運転をしない、させないことに加え、二日酔い、虚偽報告、測定忘れのリスクを共有します。
記録監査
記録8項目、保存期間、未検知者、指示事項を定期的に確認します。漏れを早期に見つける体制が必要です。
システム管理
紙やExcelで管理しきれない場合は、クラウド型サービスで測定、本人確認、記録保存を一元化する選択肢があります。

体制化では、現場の負担を無視しないことも大切です。運転者が測定しにくい、管理者が確認しきれない、記録を後から転記する時間がない状態では、ルールが形骸化しやすくなります。

紙・Excel運用が向くケースと限界

紙やExcelでも、運転者が少なく、管理者が対面で確認しやすい事業所なら運用を始められます。一方で、直行直帰、複数拠点、補助者確認が多い企業では、記録漏れや転記負担が増えやすくなります。

運用方法 向くケース 注意点
紙台帳 少人数で対面確認が中心 保管と検索に手間がかかる
Excel 拠点数が少なく担当者が固定 転記漏れや版管理に注意
クラウド管理 直行直帰や複数拠点が多い 導入前に運用設計が必要

どの方法を選んでも、確認項目と保存期間は変わりません。自社の車両台数、運転者数、勤務形態、管理者の確認負担を基準に選びましょう。

コムズで支援できる管理業務

当社のクラウド型アルコールチェックサービス「コムズ」は、アルコール検知器、スマートフォンアプリ、管理画面を連携させ、測定結果や本人確認、位置情報、記録保存、管理者確認をクラウドで扱う法人向けサービスです。

測定・本人確認
運転者はスマートフォンアプリと検知器を使って測定し、顔認証や顔写真自動取得、位置情報記録を組み合わせて確認できます。
記録保存
検知結果をクラウドへ自動送信し、管理画面で確認できます。紙やExcelへの転記負担を減らしやすくなります。
管理者確認
有反応時アラート、未検知者リスト、絞り込み、Excel/CSV出力などにより、管理者が状況を追いやすくなります。
検知器メンテナンス
検知器メンテ通知やメンテ管理により、検知器を使える状態に保つ管理を支援します。

直行直帰や複数拠点の運用では、測定結果、本人確認、位置情報、未検知者確認を別々に管理すると、管理者にも運転者にも負担がかかります。当社では、コムズを通じてアルコールチェックの記録管理と確認業務をまとめ、現場で続けやすい運用づくりを支援しています。

管理負担軽減

コムズで一元管理

測定結果や確認状況をクラウドで扱い、記録管理の手間を減らせます。

まとめ|アルコールチェック義務化対応を社内に定着

道路交通法改正に関連するアルコールチェック義務化では、対象判定、運転前後の確認、記録の1年間保存、直行直帰時の確認、検知器の常時有効保持を一体で整える必要があります。安全運転管理者や補助者だけに負担を寄せず、誰が見ても同じ基準で運用できる状態を作ることが重要です。

まずは、自社が対象事業所に該当するか、記録8項目が残せているか、直行直帰や出張時の確認方法が決まっているかを点検しましょう。そのうえで、紙・Excelでは負担が大きい場合は、クラウド管理の導入を検討する価値があります。

当社では、コムズの資料請求やお問い合わせを通じて、直行直帰や複数拠点を含むアルコールチェック運用の整理を支援しています。自社の車両台数や勤務形態に合う管理方法を確認したい場合は、料金シミュレーションやお問い合わせをご活用ください。

体制づくり

運用設計を相談

直行直帰や複数拠点の確認方法を、クラウド管理で整理できます。