2026.01.23

  • コラム

2025年最新調査で判明!アルコールチェック「クラウド移行」が加速する理由

2022年に白ナンバー事業者へのアルコールチェックが義務化されてから数年が経過しました。現場の運用は、法を守るための形式的な対応から、より実質的な効率化を求めるフェーズへと変化しています。

本記事では、シャープが2025年7月に実施した1,146名規模の大規模調査に基づき、最新のトレンドを詳しく解説します。他社の動向を知ることで、自社の管理体制をアップデートするヒントが見つかるはずです。

2025年7月最新調査:白ナンバー事業者のアルコールチェックは「定着」から「効率化」へ

2025年におけるアルコールチェックの実施状況は、義務化直後の混乱期を脱し、新たな局面を迎えています。多くの企業が制度を単なるルールとしてだけでなく、組織の防衛策として捉え直している実態が明らかになりました。

調査概要:全国1,146名の安全運転管理者が回答した「現場のリアル」

今回のデータ元となる調査は、白ナンバー車両を保有する事業者の安全運転管理者を対象に実施されました。回答者数が1,000名を超える大規模なものであり、業界の縮図を反映した信頼性の高い内容です。

●調査対象
全国の白ナンバー事業者に勤務する安全運転管理者1,146名が回答しています。

●調査期間
2025年7月25日から7月29日までの期間で実施されました。

●調査の継続性
今回で4回目となる定期調査であり、過去のデータとの比較から経年変化を読み取れるのが特徴です。

●調査の目的
2025年度における義務化対応の実施状況や、現場が抱える課題を可視化することを目的としています。

実施状況の変化:社会的関心の高まりで「意識」と「行動」が向上

義務化から時間が経過した現在、アルコールチェックの実施状況は過去の調査と比較して大きく改善されました。これは単に罰則を恐れるだけでなく、企業のコンプライアンス意識が根本から底上げされた結果と言えます。

相次ぐ飲酒運転関連の報道や社会的な批判の強まりが、現場の運用を強力に後押ししています。多くの事業所では、測定を「面倒な作業」ではなく「欠かせないルーチン」として定着させることに成功しました。

企業の管理体制が整うにつれ、全社的な安全意識も向上しています。ドライバー一人ひとりが飲酒運転のリスクを自分事として捉え、自律的にチェックに取り組む姿勢が広がりつつあるのが現状です。

背景にある危機感:飲酒運転事故は横ばいも「死亡事故」は増加傾向

警察庁交通局が発表した令和6年の統計によると、飲酒運転による事故件数自体は横ばいで推移しています。しかし、注目すべきは死亡事故の件数が増加傾向にあるという厳しい現実です。

アルコールが介在する事故は、一旦発生すると重大な結果を招く確率が極めて高いことを示しています。企業にとって事故は社会的信用の失墜に直結するため、管理の徹底は経営上の最優先事項です。

●事故統計の現状
発生件数は劇的に減っていない一方で、重大事故の割合が高まっている点に注意が必要です。

●実施率の課題
依然として100%の実施を継続できている企業ばかりではなく、一部で形骸化の懸念が残ります。

●継続的な取り組み
事故撲滅のためには、一過性の対策ではなく仕組みとして管理を継続する姿勢が求められます。

管理手法のパラダイムシフト:アナログ管理からクラウドへ「2割」の大移動

2025年の調査で最も顕著に表れたのが、アルコールチェックの管理手法における劇的な変化です。これまでの主流だったアナログな手法が衰退し、デジタルへの移行が加速しています。

データで見る変化:紙・Excel管理が「2割減少」し、クラウド導入が「2割増加」

管理手法の内訳を見ると、従来一般的だった紙の台帳やExcelなどの電子ファイルによる管理比率が、前回調査から約2割も減少しました。代わって台頭しているのが、クラウド型の管理システムです。

クラウド管理システムや専用サービスの導入比率は、紙などの減少分を補うように約2割増加しています。多くの企業が、物理的な記録の限界を感じてデジタル化へと舵を切ったことが数値から分かります。

この「2割」という数字は、企業のIT投資がアルコールチェック分野にも波及している証拠です。小規模な事業所であっても、コスト対効果を考えてシステム導入を選択するケースが増えています。

変化の要因:義務化対応の「とりあえず運用」から「業務効率化」への脱皮

管理手法が変化した背景には、企業側の意識が「法対応」から「効率化」へシフトしたことがあります。義務化当初は急ぎで紙の記録簿を用意した企業も、運用の継続に伴いその負担に耐えられなくなりました。

●守りの管理から攻めの管理へ
法的な罰則を避けるための記録から、管理者の工数を削減するためのシステム利用へと変化しています。

●現場の負担軽減
点呼業務のシステム化により、管理者が抱えていた心理的・時間的な負担が減少する傾向にあります。

●データの活用
単に記録を残すだけでなく、異常値を即座に検知し、全拠点の状況をリアルタイムで把握するニーズが高まりました。

現場の悲鳴が変わった?管理者アンケートで見えた「課題意識」の質的変化

アルコールチェックの運用が日常化するにつれ、安全運転管理者が抱える悩みの質に変化が生じています。制度開始直後の混乱とは異なり、現在はより高度で実務的な運用上の課題が浮き彫りになりました。

単に「記録を残すのが大変だ」という段階を超え、現在は「いかにしてチェックの精度と信頼性を高めるか」という点に焦点が当たっています。管理者の視点がより本質的なリスク管理へと移っている証拠です。

過去の課題:事務作業としての「記録・保存」の煩雑さ

制度開始からしばらくの間、管理者の最大の悩みはアナログな事務作業の膨大さにありました。日々の測定結果を手書きで台帳に記入し、それを長期間保存する作業は想像以上の負担となっていたのです。

紙のファイリング作業や、バラバラに届く報告をExcelへ転記する作業に、毎日多くの時間が割かれていました。この時期の課題は、純粋な「作業工数の削減」が中心だったと言えます。

●物理的な保管場所の確保
義務化された記録を数年間保存するために、大量のバインダーや保管スペースが必要でした。

●転記ミスの発生
手書き文字の判別や入力ミスにより、データの正確性を保つことに限界を感じる現場が多発しました。

●過去データの検索性
特定の日の記録を遡って確認する際、膨大な紙の束から探し出す作業が非効率極まりない状態でした。

現在の課題:コンプライアンス遵守のための「実施確認」の厳格化

2025年の調査では、記録の作業性よりも「実施確認の徹底」に関する課題を感じる回答者が増加しました。形として記録を残すだけでなく、ルールが形骸化していないかを厳しく問う姿勢が強まっています。

管理者がすべてのドライバーの横に立って確認することは物理的に不可能です。そのため、見えない場所で行われるチェックの「実効性」をどのように担保するかが、現在の共通した悩みとなっています。

課題の詳細1:いつ・どこで・誰が?遠隔地や直行直帰における確認の不安

社用車を利用する業務では、事務所に立ち寄らない直行直帰や、数日間にわたる遠隔地への出張が頻繁に発生します。管理者の目が届かない環境下での測定は、現場の判断に委ねられる部分が大きくなります。

●測定タイミングの把握
管理者は、ドライバーが運転前後に出張先で正しく測定を行っているかをリアルタイムで把握できません。

●電話点呼の限界
電話越しの声だけでは、本当にその場で測定器を使用しているのか、周囲に酒気帯びの気配がないかを確認しきれません。

●遠隔地データの集計遅延
出張先での測定結果が数日後に報告される運用では、異常があった際に即座に運転を差し止めることが不可能です。

課題の詳細2:なりすましや未実施を防ぐ「実効性」への懸念

システム化が進む一方で、データの信頼性に対する新たな懸念も生まれています。アルコール検知器に息を吹き込む際、本人以外の第三者が身代わりになる「なりすまし」のリスクをいかに防ぐかという問題です。

●本人認証の必要性
測定データだけが届いても、それが確実に本人のものであるという証拠をどう残すかが議論されています。

●測定器の適切な使用
正しくセンサーに息を吹きかけているか、あるいは測定を失念したまま運転を開始していないかという「実働」の監視が求められています。

●心理的な抑止力
管理が緩いと感じさせない仕組み作りにより、ドライバーの不正や妥協を未然に防ぐ環境整備が急務となっています。

まとめ

2025年の最新調査結果から、白ナンバー事業者のアルコールチェック対応は「単に実施する段階」を終え、「効率的かつ厳格に運用する段階」へと進化したことが明確になりました。多くの企業が、アナログ管理の限界を乗り越えるためにクラウド移行という選択をしています。

このパラダイムシフトは、単なる事務作業の軽減だけではなく、コンプライアンスの強化や事故リスクの低減に直結するものです。管理手法をデジタルへ転換することで、遠隔地での確認不足やなりすましといった高度な課題にも、実効性のある対策を講じられるようになります。

●企業の進化
2022年の義務化開始から数年を経て、現場の意識は法遵守という「守り」から、DX化による「攻め」の管理へとシフトしています。

●安全意識の再確認
システムは強力な武器になりますが、最も重要なのは、飲酒運転を決して許さないという全社的な意識の高さです。

●継続的な改善
時代の変化とともに生まれる新たな課題に対し、柔軟に管理体制をアップデートし続ける姿勢が、企業を守ることにつながります。

悲惨な飲酒運転事故をゼロにするため、すべてのドライバーと安全運転管理者が手を取り合い、より確実で持続可能な運用を目指していくことが求められています。